三豊・観音寺市医師会


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■O-157(腸管出血性大腸菌)
細菌性胃腸炎の一つで、感染者の約半数は無症状あるいは軽度の腹痛・下痢で終わりますが、血便がみられ始めると、腹痛も強くなり、ひどいと嘔吐も伴うものです。

 全年齢で感染が見られますが、5歳以下の小児に高率であると云われています。夏季(6〜9月)に多いのですが、冬にも分離されることがあります。

 ウシ、ブタ、ヒツジ等の家畜から分離されるため、それらの肉を調理する時に十分に火が通ってなかったり、調理する時のまな板・包丁などに菌が付着していることが原因となることがあります。例えば、肉を切った後で十分に包丁を洗っていないと、次に切った野菜に菌が付着して感染の原因となることがあるのです。他に、菌の付いた手で触ったドアノブや、蛇口などを触ることによって手に付着し、それを介してうつることもあります。

 このように経口感染によってうつるものですが、ごく少量の菌でも感染が成立するため、O-157が発
生した場合には家族内や施設内では2次感染に注意しないといけません。

 潜伏期は3〜5日間です

 合併症として、溶血性尿毒症症候群というものがあり、意識障害やけいれんなどを起こしたり、命にかかわることもあります。下痢の初日から数えると2週間以内(多くは5〜7日後)、血便が出てから4日以内で発症すると云われています。O-157が恐れられるゆえんは、むしろここにあります。

 この症候群はO-157罹患者の1〜10%に合併すると言われ、急速に元気が無い、顔色が悪い、尿量が少ない、浮腫、傾眠傾向、点状出血などの症状で発見されることが多く、乳児や症状の激しい人は注意しなければいけません。

 O-157は学校保健法で第3種伝染病に指定されており、抗菌薬を飲んでない状態で24時間以上の間隔をおいた連続2回の便培養が陰性、そして下痢が消失しておれば登園・登校できます。ただし、手洗いの励行など、一般的な感染予防対策で2次感染は防止できるので、無症状病原体保有者は出席停止の必要はありません。

 周囲でO-157等の流行が見られ、胃腸症状があるときは、早期にかかりつけの先生に診てもらいましょう。

参考文献:開業医の外来小児科学 改訂5版 p210−216
参考ホームページ:http://www1.mhlw.go.jp/o-157/o157q_a/index.html
(厚生労働省 腸管出血性大腸菌Q&A)