三豊・観音寺市医師会


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■花粉性アレルギー性鼻炎
  1. 花粉性アレルギー性鼻炎の症状

     スギ花粉症の主な鼻症状としては、1.くしゃみ2.水様性鼻漏3.鼻粘膜腫脹(鼻閉)の3つがあげられますが、これらの症状は、人体がもともと持っている免疫反応によりもので、免疫反応が特定の抗原(この場合はスギ花粉)に対して過剰に起こった状態をアレルギーと呼びます。すなわち、人間の体はスギ花粉を異物と見なし、くしゃみや鼻汁によって体外に排出させようとしたり、鼻腔粘膜を腫脹させることによって、花粉の侵入をブロックしようとします。アレルギー反応が引き起こされるメカニズムは非常に複雑であり、多くの要因がかかわっているため、現時点ではアレルギーを根本的に治療することは困難とされています。したがって、スギ花粉症の治療の目標は根治ではなく「症状がない、あるいはあってもごく軽度で、日常生活に支障のない、薬もあまり必要ではない状態」を目指す、ということになります。

  2. 花粉性アレルギー性鼻炎の治療

     治療法は、1.スギ花粉の除去と回避、2.薬物療法、3.免疫療法、4.手術療法があげられます。
    それぞれについて、簡単に解説したいと思います。

    1. スギ花粉の除去と回避

       最近はテレビやインターネットを通じて花粉飛散情報を簡単に知ることができるようになりました。飛散の多いときはなるべく外出を控えるか、マスクやメガネを使用しましょう。また、帰宅時には衣服や髪をよく払って付着した花粉を落とした後、入室するようにします。窓はなるべく開けないようにして、換気は短時間にとどめたほうがよいでしょう。洗濯物や布団の外干しは避けるか取り込んだ後に掃除機などで花粉を除去することが大事です。もちろん窓際を中心とした室内の掃除は念入りに行ってください。とにかく花粉を体内に取り込まない、室内に持ち込まないことが花粉症治療の第一歩です。

    2. 薬物療法

       さきほど、スギ花粉症を根治させることはできないと書きましたが、幸い最近は有効なお薬が多く開発されていますので、薬を上手に使うことにより鼻症状をかなり抑制することができます。

       スギ花粉の飛散期は地域によって多少前後しますが、おおよそ2月中旬から4月中旬と決まっています。症状が強くなってから治療を開始しても薬の効果が現れるまでに時間がかかり、十分な効果が得られない可能性もあります。ですから飛散開始予測日の1?2週間前をめどに、症状がないうちから薬の使用を開始しておく必要があります。薬物療法には、内服薬(抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬など)と、点鼻薬(局所ステロイド薬など)があり、薬剤の使い分けは、病型(鼻汁型か鼻閉型か)や鼻症状の重症度によって、単独もしくは複数の薬を組み合せて使用します。どの薬剤を使用するかは担当医とよく相談のうえ、処方してもらいましょう。どの薬を使用するにしても、症状が改善したからといって自己判断で薬の使用をやめることなく、スギ花粉が飛散している間は医師の指示通り薬を使い続けることが肝要です。

    3. 免疫療法

       現在保険適応が認められ、その有効性が確認されている免疫療法は、「抗原特異的減感作療法」です。この治療はアレルゲン(スギ花粉)のエキスをごく少量から皮下注射し、徐々に濃度を濃くすることによってアレルギー反応が起きないように体を慣らしていくものです。スギ花粉症の場合有効率は70%とされており、長期的な寛解が期待できます。薬物治療が無効な人や妊娠などにより薬が使用できない人には良い適応となります。ほとんどの場合は安全に治療できますが、まれにアナフィラキシーショックなどの副反応が出現することや、最低でも2?3年以上は治療を続ける必要があるなどの欠点があるため、広く普及しているとは言い難いのが現状です。

    4. 手術療法

       花粉症の症状のうち、くしゃみや鼻漏は比較的薬物治療に反応しますが、鼻閉には効果が弱いことが少なからずみられます。そのため、手術療法の第1の目的は鼻閉の改善ということになります。内服薬や点鼻薬による治療に反応が悪く、頑固な鼻閉が手術の適応です。手術には外来での日帰り手術が可能な、レーザー手術法、電気凝固法、80%トリクロール酢酸塗布や、入院して行う鼻中隔矯正術や下鼻甲介粘膜切除術、粘膜下下鼻甲介切除術などがありますが、いずれも鼻腔の通気度を改善することが目的です。

 以上、スギ花粉症の治療について簡単にお話しました。薬物療法をはじめとした治療法の進歩により、花粉大量飛散期においても大きな苦痛なく、日常生活を送ることは可能となりました。ただし、治療効果や副作用は個人差が大きいため、患者さんと医師とが協力して早期にそれぞれの患者さんに適した治療法を見つけることが大事といえます。

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