三豊・観音寺市医師会


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■腹痛のはなし

腹痛のはなし 「おなかがいたい!」と受診されるかたが多くいます。小さなお子さんから高齢のかたまで様々です。もちろんおなかが痛いというのもピンキリで、今はいろんな市販薬もありますし、受診されるかたは散々悩んで来られた「かなり痛い」かたがたです。 上腹部の痛みであれば「胃が痛い」と言って来られる方がほとんどですが、検査してみると胃以外にも、若い方なら十二指腸、高齢の方なら胆のう周囲からの痛みであることも多々あります。

やっかいなのは下腹部痛です。それも右下腹部痛となれば「盲腸でしょうか!?」「すぐ手術でしょうか?」しまいには小さいお子さんの親御さんで「ここで手術はできるんでしょうか?」まで診察室に入ってものの1分たらずで言うかたまでいらっしゃいました。 もちろん虫垂炎は選択肢の1つに成り得ますが、感冒等からの胃腸炎であったり、便秘症であったり、ガスがたまった腹部膨満感であったり、憩室炎であったり、、、ひいては尿管結石などの泌尿器系疾患や子宮外妊娠や卵巣嚢腫、捻転などの婦人科系疾患に起因するものであったりと、しっかりと診察検査による鑑別、治療が必要となります。 ちなみに尿管結石は腰部痛、膵炎は背部痛でみられることもあります。

医療機関を受診の前に、まずは薬局で薬を買ってのんでみようという場合、上腹部痛では制酸剤のはいった胃腸薬やH2ブロッカーが有効なことがあります。ただし胃潰瘍や十二指腸潰瘍であれば一時的な効果はあっても再燃しますし、胆石発作であれば効果は期待できません。一時的に症状を軽減させるだけなら鎮痙剤が有効な可能性もありますが、医療機関への受診をおすすめします。

下腹部痛では、鑑別診断が多く一概には言えませんが、下痢などで起こる周期的におなか全体が痛い鈍痛(いわゆる内臓痛)では鎮痙剤が効果がある可能性があります。 さらに時間がたって、内臓痛から次第に部位がはっきりして鋭い痛みが持続的に続く(いわゆる体性痛)場合、痛みを和らげるだけなら鎮痛剤が効果があるかもしれません。しかし抗生剤投与や手術が必要な場合もあるのでどちらにしても早期の医療機関受診が必須です。 過敏性腸症候群(IBS)とよばれる症候群があります。これは、ストレスにより自律神経の乱れより大腸が過敏になっておこることが多く、思春期のかたにも多くみられます。便秘や下痢の排便コントロール不良やガス産生過剰による腹部膨満感の原因のひとつになります。

対処法としては整腸剤等内服以外にも、1)ストレスを除くようにする。2)規則正しい生活をする。3)睡眠を十分にとる。4)適度な運動をする。5)規則正しいバランスのとれた食事をする。6)リラックスする時間をとり緊張をほぐす。など生活習慣の改善も必要になってくるかと思われます。

健常な人では、飲食物から1日約2Lの水分を取り、消化管からの分泌液(唾液、胃液、腸液、膵液、胆汁など)が1日約7Lあるので、毎日約9Lの液体が腸に流れ込みます。そのうち、約99%以上は再び腸から体内に吸収されます。糞便として排出される水分はわずか0.1~0.2L/日で、1日200g以下の糞便になるようにコントロールされています。 この腸管のコントロールが乱れると、糞便中の水分が増加して下痢や軟便となってしまいます。つまり、水分をとりすぎた場合や、冷えなどによって腸管の蠕動運動が過剰となり水分吸収が不十分となった場合などでは、下痢や軟便となりますので注意が必要です。

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