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健康情報
■ヘリコバクター・ピロリ菌と胃癌

非常に酸度の高い胃の中では細菌は住めない、と昔から考えられていました。ところが、胃の中でも生息できるヘリコバクター・ピロリ菌という細菌が、20世紀後半に発見されました。そして、この細菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍を慢性化させることが明らかになりました。さらに、ピロリ菌は慢性萎縮性胃炎の原因でもあり、この慢性萎縮性胃炎が続くと、胃癌を発生させる可能性のあることまで明確にされてきたのです。すなわち、ピロリ菌感染は胃癌のもっとも重要な原因の一つです。したがって、ピロリ菌を胃から排除すると胃癌予防につながり、この除菌療法は急速に普及しつつあります。

まず、自分の胃の中にピロリ菌が居るかどうかを調べることが先決です。
その検査法には幾つかありますが、血液で調べるのがもっとも簡単です。最近では、ピロリ菌が居るか居ないかを調べると同時に、萎縮性胃炎の状態まで血液でわかるABC検診というのが行われるようになっています。最寄りの病院でお尋ね下さい。

ピロリ菌に感染していたら、除菌をぜひお勧めします。
けっして難しい治療ではなく、2種類の抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬を1週間服用するだけです。もちろん家庭で服用できます。稀に軟便や下痢、味覚異常などの薬の副作用がでることもあります。なお、喫煙すると除菌成功率が低下しますので、服薬中は必ず禁煙して下さい。そして、2ヶ月以上たってから、除菌できているかどうか再度ピロリ菌の検査を行います。その時は、息を調べるだけで判定できる尿素呼気試験が最適です。正しく薬を服用すれば、80〜90%の確率で除菌できます。2種類の抗生物質に対して耐性のあるピロリ菌の場合は除菌が困難で、そのときは抗生物質の種類を変えて二次除菌療法を行うことになります。

最後に、胃潰瘍または十二指腸潰瘍がない方の除菌は、残念ながら現時点では保険がききません。
すべて自費になりますが、さほど高価なものでもありませんので、胃癌から逃れるために除菌をお勧めいたします。